与太話

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忘我と自由

文章を書くということに生理的な快感を抱いている。文章の内容がめちゃくちゃだろうと何でもいい。とにかく吐き出したい。なんでもいいから吐き出したい。文章を読み返して推敲なんかしない。ただ思いつくままに書き散らすだけ。書く作業が目的である。その文章の完成形なんてどうでもいい。書くということがすべて。書いていたい。吐き出していたい。なんでもいい。精神のドロドロとしたものを吐き出す。精神的な排泄行為とでも言おうか。浄化。

何を書いたかなんて内容は次の日にはすっかり忘れている。それでいい。それでいい。明日になればまた何かを書くのだろう。それでいい。それでいい。書くということを意識しだすと何も書けなくなる。忘我。我を忘れて書くことに熱中している時は止め処なく言葉が溢れてくる。自意識過剰な僕は常に俯瞰した視点で自分自身を見つめているもう一人の自分がいる。離人症の軽いヤツみたいな感じなのかな。よくわからないけど。そいつの存在が幼い頃から厄介だった。身体の僕の行動を逐一制限する。いまだにそいつをうまく飼い慣らせていない。何をするにも俯瞰で見ている僕がいる。何かに熱中している忘我の時だけがそいつから自由になることのできる時間。それがいまは、曲をつくる、絵を描く、文章を書く、ということ。忘我と自由。

言葉

お互いに手を繋いでいる。

けれどお互いに手袋を嵌めたまま。

通じ合わない。触れ合わない。

通じ合ったふり。触れ合ったふり。

それで満足している人ばっか。

素肌と素肌で触れ合いたい。

心と心で触れ合いたい。

言葉がもたらす境界線を無くしたい。

融けあいたい。ひとつになりたい。

言葉、言葉、言葉、言葉、

言葉が世界を分ける、分ける、分ける、

これでもかというほど細かく細かく分ける、分ける。

本来、言葉なんてなくてよかった。

言葉のない世界こそが本当の世界。

しかし、一度言葉を覚えてしまったなら、

今度は有りとあらゆる言葉を知り尽くすことでしか本当の世界には近づけない。ただしそれは虚構の世界。

動物は尊い。植物は優しい。

人間という愚かな生物として生まれ落ちてしまった恥を死ぬまで背負って生きていく。

借り物の言葉に塗れながら。

ああ、本当のことが欲しい。本当のことが欲しい。本当のことが欲しい。本当のことが欲しい。

真夜中

真夜中は静かでいい。

心を乱すものが少ない。

心の中の声がよく聴こえる。

自問自答、繰り返す。

 

真夜中は暗くていい。

暗闇が身体を包み込む。

微かな明かりに目を凝らす。

それは希望か?

 

真夜中は寒くていい。

布団の暖かさが身体に沁み入る。

僕を包み込む布団の柔らかさ。

僕は少しずつ眠くなる。

忘我

我を忘れる。その時だけが自由になれる。

苦しみから目をそらすことができる。

どうすれば我を忘れて何かに没頭できるのか。

僕の場合は、音楽を作っている時と、時々絵を描いている時。

我という存在から離れて、時間の感覚から離れて、「この身体」のみがここにある。

超主観の視点。そこに幸福があるのか。

忘我こそが幸福なのか。

無心で物作りをすることこそが苦しみからこの身を解放してくれる唯一の方法なのか。

曲を作り続けるしかないのか。

絵を描き続けるしかないのか。

それを死ぬまで続けるのか。

生活していけるのか。

「苦しみとの付き合い方 」。

 

星を見たい

星を見たい。

広い原っぱで。

河原の土手で。

星を見たい。

宇宙を想像できるから。

自分の小ささを知れるから。

何百年か昔の光がいまここに届いて、

いま発された光は何百年か後になってここに届く。

自分の命の短さよ。

命は誰にとっても短いものだろう。

何もわからないままに死んでゆくのだろう。

どこにも行けないままに死んでゆくのだろう。

足りない、満たされない、苦しい、と、もがきながら、もだえながら死んでゆくのだろう。

星は静かに光を放ち続ける。

 

時間

明日が今日に、今日が昨日に。
目には見えないけど常に変わらずにはいられない。
変化。時間の経過。
人は時間を知覚することはできないのではないか。ただ物質的な変化に気がつくことができるだけなのではないか。
時計の針の位置が変化したことしかわからない。太陽が東から昇り段々と西へ向かっていくことしかわからない。いつのまにか辺りが暗くなって夜が来たということしかわからない。
時間というものを理解しているわけではない。

 

小学3年生の頃、明日がどこからやってくるのかを考えて怖くなった。どの方角へ逃げようと明日は来る。どこへ逃げようと歳はとる。

もちろん動かなくても明日は来るし歳もとる。

リビングの時計の針の動きを見て言いようもない怖さを抱いたのを覚えている。

 

時間には逆らえない。変化には逆らえない。

どうやって時間をやり過ごすか?

どのように変化していくか?