言葉
お互いに手を繋いでいる。
けれどお互いに手袋を嵌めたまま。
通じ合わない。触れ合わない。
通じ合ったふり。触れ合ったふり。
それで満足している人ばっか。
素肌と素肌で触れ合いたい。
心と心で触れ合いたい。
言葉がもたらす境界線を無くしたい。
融けあいたい。ひとつになりたい。
言葉、言葉、言葉、言葉、
言葉が世界を分ける、分ける、分ける、
これでもかというほど細かく細かく分ける、分ける。
本来、言葉なんてなくてよかった。
言葉のない世界こそが本当の世界。
しかし、一度言葉を覚えてしまったなら、
今度は有りとあらゆる言葉を知り尽くすことでしか本当の世界には近づけない。ただしそれは虚構の世界。
動物は尊い。植物は優しい。
人間という愚かな生物として生まれ落ちてしまった恥を死ぬまで背負って生きていく。
借り物の言葉に塗れながら。
ああ、本当のことが欲しい。本当のことが欲しい。本当のことが欲しい。本当のことが欲しい。